さいこうの夜 かくしそうこ
「そうか。隠し倉庫か!!」
社長は、歓喜に震えている。
その目には、うっすらと涙が光っていた。
「君のパッションある捜索のお陰だ!! さっそくだが、賢を探しに行ってもらえるだろうか!?」
社長の期待に応えたい。
僕は力強くうなずいた。
真っ暗な地下室を進んでいく。
このどこかに隠し倉庫があるらしい。
ぽちゃん……
ぽちゃん……
天井からは水漏れがしていた。不気味な雰囲気だ。とにかく片っ端から扉を開けてみることにする。最初に入った部屋は、どうやらワインセターのようだった。
ふと、壁際に怪しげなボタンを見つける。
……押したい。
こんなにも押したくなるボタンが、かつてあっただろうか。もう押したくてたまらない……!
「パッション!!」
気合いの入る一言とともに、ぼくはそれをプッシュする。派手な音を立てて、隠された扉が開いた!!
どうやら、ここが隠し倉庫らしい。
内部はひんやりとしていて、ゾゾっと悪寒が走った。
「う、うっ、ううっ……」
暗闇の奥からは、誰かのむせび泣く声が聞こえる。
「……賢君?」
恐る恐る呼びかけると、ガタリと立ち上げる物音がした。ゆっくりこちらへ近づいてくる……!
「う、うわああん! プロデューサーさぁあん!! 怖かったですううう!!!」
半泣きで飛びついてきたのは、思った通り賢君だった。
よかったよかった! これで万事解決だ!
それにしても、どうしてこんなところにいたのか。
「最初は、些細なことだったんです」
賢君はポツリポツリと話し始めた。
みんなが談話室でくつろいでいる時、賢君は厨房でお茶を淹れていた。しかし、それをこぼしてしまい、片付けようと掃除道具を探し始めた。地下室に入ると、そのまま隠し倉庫に閉じ込められてしまったらしい。
「本当に、些細なことですよね……」
彼の言葉に、ぼくはこっくりとうなずく。
何はともあれ、賢君を救出することができた。彼の無事を報告するため、ぼくたちは、社長の待つ談話室へと戻るのだった。□
賢君を助け出したぼくは、談話室へ戻ってきた。社長に事の顛末を話していると……。
「山村さん! 無事だったんだな!」
「プロデューサーが見つけたのか! ホッとしたぜ~!」
冬馬と天道さんが、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ふん。本当に騒がしい奴だな」
言いつつ、桜庭さんもどこか安堵した様子だ。
「ふふ。大丈夫だとは思っていましたが、元気に戻ってきてよかったです」
北斗も、胸を撫で下ろしている。
まあ、雪山で遭難したり、プラズマに襲われたり、スキーのストックで刺される危険性もあったのだ。このペンションで、全員生還できたのは奇跡だろう。
そのうち、捜索に出ていた他のみんなも、談話室に集まってきた。賢君を囲んで、無事を喜んでいる。何か思いついた様子で、天道さんがポンと拳を打った。
「なあ。無事を祝って、賢を胴上げしようぜ!」
「いいですね。全員でやりましょう!」
柏木さんも笑顔で乗っかる。
早速、背の高い人や力自慢たちが中央に揃った。照れ臭そう賢君を、担ぎ上げる。
「わっしょい! わ~っしょい!!」
その他のみんなは、輪の周りで掛け声をあげる。
一際高く飛び跳ねているのは、翔太だった。
なんて素晴らしいんだろう! みんなの熱い思いが、燃え上がるような団結力が、ペンションに満ちていく。
「よーし! みんな!」
社長が、いつもの調子で告げる。
「いろいろとあったが、さいこうの夜はまだ始まったばかりだ!! 今宵はいつも以上に語り合い、盛り上がろうではないか!!」
みんなからも、歓声と拍手が起こる。
こうして、ショプールでの楽しい時間は、いつまでも続いていくのだった……。
完
制作・出演
315Production
社長は、歓喜に震えている。
その目には、うっすらと涙が光っていた。
「君のパッションある捜索のお陰だ!! さっそくだが、賢を探しに行ってもらえるだろうか!?」
社長の期待に応えたい。
僕は力強くうなずいた。
真っ暗な地下室を進んでいく。
このどこかに隠し倉庫があるらしい。
ぽちゃん……
ぽちゃん……
天井からは水漏れがしていた。不気味な雰囲気だ。とにかく片っ端から扉を開けてみることにする。最初に入った部屋は、どうやらワインセターのようだった。
ふと、壁際に怪しげなボタンを見つける。
……押したい。
こんなにも押したくなるボタンが、かつてあっただろうか。もう押したくてたまらない……!
「パッション!!」
気合いの入る一言とともに、ぼくはそれをプッシュする。派手な音を立てて、隠された扉が開いた!!
どうやら、ここが隠し倉庫らしい。
内部はひんやりとしていて、ゾゾっと悪寒が走った。
「う、うっ、ううっ……」
暗闇の奥からは、誰かのむせび泣く声が聞こえる。
「……賢君?」
恐る恐る呼びかけると、ガタリと立ち上げる物音がした。ゆっくりこちらへ近づいてくる……!
「う、うわああん! プロデューサーさぁあん!! 怖かったですううう!!!」
半泣きで飛びついてきたのは、思った通り賢君だった。
よかったよかった! これで万事解決だ!
それにしても、どうしてこんなところにいたのか。
「最初は、些細なことだったんです」
賢君はポツリポツリと話し始めた。
みんなが談話室でくつろいでいる時、賢君は厨房でお茶を淹れていた。しかし、それをこぼしてしまい、片付けようと掃除道具を探し始めた。地下室に入ると、そのまま隠し倉庫に閉じ込められてしまったらしい。
「本当に、些細なことですよね……」
彼の言葉に、ぼくはこっくりとうなずく。
何はともあれ、賢君を救出することができた。彼の無事を報告するため、ぼくたちは、社長の待つ談話室へと戻るのだった。□
賢君を助け出したぼくは、談話室へ戻ってきた。社長に事の顛末を話していると……。
「山村さん! 無事だったんだな!」
「プロデューサーが見つけたのか! ホッとしたぜ~!」
冬馬と天道さんが、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ふん。本当に騒がしい奴だな」
言いつつ、桜庭さんもどこか安堵した様子だ。
「ふふ。大丈夫だとは思っていましたが、元気に戻ってきてよかったです」
北斗も、胸を撫で下ろしている。
まあ、雪山で遭難したり、プラズマに襲われたり、スキーのストックで刺される危険性もあったのだ。このペンションで、全員生還できたのは奇跡だろう。
そのうち、捜索に出ていた他のみんなも、談話室に集まってきた。賢君を囲んで、無事を喜んでいる。何か思いついた様子で、天道さんがポンと拳を打った。
「なあ。無事を祝って、賢を胴上げしようぜ!」
「いいですね。全員でやりましょう!」
柏木さんも笑顔で乗っかる。
早速、背の高い人や力自慢たちが中央に揃った。照れ臭そう賢君を、担ぎ上げる。
「わっしょい! わ~っしょい!!」
その他のみんなは、輪の周りで掛け声をあげる。
一際高く飛び跳ねているのは、翔太だった。
なんて素晴らしいんだろう! みんなの熱い思いが、燃え上がるような団結力が、ペンションに満ちていく。
「よーし! みんな!」
社長が、いつもの調子で告げる。
「いろいろとあったが、さいこうの夜はまだ始まったばかりだ!! 今宵はいつも以上に語り合い、盛り上がろうではないか!!」
みんなからも、歓声と拍手が起こる。
こうして、ショプールでの楽しい時間は、いつまでも続いていくのだった……。
完
制作・出演
315Production