さいこうの夜 彩篇 Aルート
一旦、地上に戻ることにした。
賢君を探すのは大切だが、アイドルたちが風邪を引いたら大変だ。
ぼくがそう伝えると、
「そうですね、賢さんの行方は気になりますが、まずは体を温めないと。厨房をお借りしてお茶でも淹れましょうか」
と、九郎が優しく微笑んだ。
「九郎ちゃん、ポットより、ヤカンの方がいいでしょ?」
「ええ、ありがとうございます。でもどこにあるのか……」
「こっちの戸棚は見たでにゃんすか?」
お茶を淹れるため、ぼくたちは厨房へと移動していた。
小林夫妻がいないため、ヤカンや湯飲みは自分たちで探さなくてはならない。
「ん? ……あら! ちょっと見てよ、プロデューサーちゃん!」
翔真さんか嬉しそうな声をあげた。
自分好みの食器でも見つけたのだろうか。
そう思って振り向くと、翔真さんが持っていたのは、1本のワインボトルだった。
「このワインは、確かすっごく高いのよ。昔、舞台を観にきてくれたお偉いさんがサ、歌舞伎座のみんなにって、差し入れてくれたことがあってね」
「ほうほう、珍しいのでにゃんすか?」
「多分ね。きっと、どこかに隠しておいた方がいいような代物よ……ん? 【隠し】ておいた方が?」
その言葉に、ぼくたちは一斉にハッとする。
そうだ、さっきの倉庫!!
「やっぱり、さっきの壁の中にも部屋があるでにゃんす!」
「高級なワインをかくしているという事ですか?」
「そうかもね。こんなにいいワイン、さっき見た中には無かったもの。でも、これがあるって事は、きっと他にも……」
ぼくたちはうなずきあって、早速社長に報告すること にした。
社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと
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賢君を探すのは大切だが、アイドルたちが風邪を引いたら大変だ。
ぼくがそう伝えると、
「そうですね、賢さんの行方は気になりますが、まずは体を温めないと。厨房をお借りしてお茶でも淹れましょうか」
と、九郎が優しく微笑んだ。
「九郎ちゃん、ポットより、ヤカンの方がいいでしょ?」
「ええ、ありがとうございます。でもどこにあるのか……」
「こっちの戸棚は見たでにゃんすか?」
お茶を淹れるため、ぼくたちは厨房へと移動していた。
小林夫妻がいないため、ヤカンや湯飲みは自分たちで探さなくてはならない。
「ん? ……あら! ちょっと見てよ、プロデューサーちゃん!」
翔真さんか嬉しそうな声をあげた。
自分好みの食器でも見つけたのだろうか。
そう思って振り向くと、翔真さんが持っていたのは、1本のワインボトルだった。
「このワインは、確かすっごく高いのよ。昔、舞台を観にきてくれたお偉いさんがサ、歌舞伎座のみんなにって、差し入れてくれたことがあってね」
「ほうほう、珍しいのでにゃんすか?」
「多分ね。きっと、どこかに隠しておいた方がいいような代物よ……ん? 【隠し】ておいた方が?」
その言葉に、ぼくたちは一斉にハッとする。
そうだ、さっきの倉庫!!
「やっぱり、さっきの壁の中にも部屋があるでにゃんす!」
「高級なワインをかくしているという事ですか?」
「そうかもね。こんなにいいワイン、さっき見た中には無かったもの。でも、これがあるって事は、きっと他にも……」
ぼくたちはうなずきあって、早速社長に報告すること にした。
社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと
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