さいこうの夜 Altessimo篇 Bルート
意を決して、外へ行ってみようと提案した。
都築さんに聞いたところ、音のする場所は、そう遠くないらしい。
それであれば、きちんと社長に出かける旨を伝え、3人まとまって動けば、問題ないはずだ。
ぼくはAltessimoの2人にできる限り厚着をさせ、銀世界へと繰り出した。
「都築さん、どこから音がするんですか?」
「んー、もう少しかな?」
吹雪の中、僕たちはいつもより大きめの声を出す。(※「僕」→「ぼく」)
いつも通りに話していると、風の音でどうしてもかき消されてしまうのだ。
凍えるような寒さの中、都築さんはある岩場で足を止めた。
「ここ、ここから暖かな音がするよ」
それは本当に、ただの岩場だった。
……そんなところ、絶対賢君に関係ないじゃないか!
驚愕の表情を浮かべたぼくと麗にはおかまいなしに、都築さんは岩場でしゃがみこんで耳を澄ませている。
「プロデューサーさん、この岩、動かせないかな?」
やけになったぼくは、2人を下がらせて力一杯手前の岩を押し出した。
すると……!
「え!? お湯!? お湯が出てきたぞ!」
「わぁ、温かいね」
なんと、突如として大量のお湯が現れたではないか!
これは紛れもなく、源泉掛け流しの天然温泉!!
お湯はみるみるうちに広がっていき、そして……。
「ようこそお越しくださいました」
穏やかな微笑みを浮かべて、麗がお客さまをお迎えする。
ここは、温泉旅館『あるてっしも』。
あれからぼくたちは、湧き出した温泉を使って、旅館の経営を始めた。
若旦那はもちろん麗。
丁寧な接客と、夕食時に度々行われるピアノとバイオリンの素晴らしい生演奏が大好評だ。
都築さんは……一応支配人、というポジションではあるが、いつも通り、マイペースに過ごしている。
お客さま用のマッサージチェアで居眠りするのは勘弁して欲しいのだが、「マスコットみたいで可愛い」と、親しまれているようだ。
ぼくはと言えば、微力ながら、番頭として2人をサポートする日々。
今まで経験したことのない出来事の連続で、戸惑うことも多いけれど、それなりに楽しくやっている。
それに、ぼくにはとても心強い仲間がいるのだ。
それが……。
「プロデューサーさん、お茶が入りましたよ」
そう、賢君だ。
温泉が噴き出した後、驚いたぼくたちがペンションへ戻ると、小林夫妻と賢君が戻ってきていた。
結局、賢君がどこにいたのか。どうやって戻ってきたのかは謎のまま。
けれど、ぼくは賢君が無事ならばそれでよかった。
大切な仲間がそばにいる。
それこそが、ぼくたちにとって重要なことなのだ。
旅館を経営していると、特別なお客さんがよく遊びにきてくれる。
それはもちろん、315プロダクションのアイドルたちだ。
実のところ、Altessimoはアイドルを、ぼくはプロデューサーの仕事を、今でもしっかり続けている。
賢君も変わらず、315プロダクションの事務員として働いており、ぼくたちはいつでも多忙な状態だ。
けれど、そんなことは一切苦にならない。
なぜなら、ぼくたちには大きな目標があるから。
「貴殿!」
「プロデューサーさん」
2人に呼ばれ、ぼくは今日も気合いをいれる。
目指すはトップアイドル。
そして、業界トップクラスの、温泉旅館だ。
終
都築さんに聞いたところ、音のする場所は、そう遠くないらしい。
それであれば、きちんと社長に出かける旨を伝え、3人まとまって動けば、問題ないはずだ。
ぼくはAltessimoの2人にできる限り厚着をさせ、銀世界へと繰り出した。
「都築さん、どこから音がするんですか?」
「んー、もう少しかな?」
吹雪の中、僕たちはいつもより大きめの声を出す。(※「僕」→「ぼく」)
いつも通りに話していると、風の音でどうしてもかき消されてしまうのだ。
凍えるような寒さの中、都築さんはある岩場で足を止めた。
「ここ、ここから暖かな音がするよ」
それは本当に、ただの岩場だった。
……そんなところ、絶対賢君に関係ないじゃないか!
驚愕の表情を浮かべたぼくと麗にはおかまいなしに、都築さんは岩場でしゃがみこんで耳を澄ませている。
「プロデューサーさん、この岩、動かせないかな?」
やけになったぼくは、2人を下がらせて力一杯手前の岩を押し出した。
すると……!
「え!? お湯!? お湯が出てきたぞ!」
「わぁ、温かいね」
なんと、突如として大量のお湯が現れたではないか!
これは紛れもなく、源泉掛け流しの天然温泉!!
お湯はみるみるうちに広がっていき、そして……。
「ようこそお越しくださいました」
穏やかな微笑みを浮かべて、麗がお客さまをお迎えする。
ここは、温泉旅館『あるてっしも』。
あれからぼくたちは、湧き出した温泉を使って、旅館の経営を始めた。
若旦那はもちろん麗。
丁寧な接客と、夕食時に度々行われるピアノとバイオリンの素晴らしい生演奏が大好評だ。
都築さんは……一応支配人、というポジションではあるが、いつも通り、マイペースに過ごしている。
お客さま用のマッサージチェアで居眠りするのは勘弁して欲しいのだが、「マスコットみたいで可愛い」と、親しまれているようだ。
ぼくはと言えば、微力ながら、番頭として2人をサポートする日々。
今まで経験したことのない出来事の連続で、戸惑うことも多いけれど、それなりに楽しくやっている。
それに、ぼくにはとても心強い仲間がいるのだ。
それが……。
「プロデューサーさん、お茶が入りましたよ」
そう、賢君だ。
温泉が噴き出した後、驚いたぼくたちがペンションへ戻ると、小林夫妻と賢君が戻ってきていた。
結局、賢君がどこにいたのか。どうやって戻ってきたのかは謎のまま。
けれど、ぼくは賢君が無事ならばそれでよかった。
大切な仲間がそばにいる。
それこそが、ぼくたちにとって重要なことなのだ。
旅館を経営していると、特別なお客さんがよく遊びにきてくれる。
それはもちろん、315プロダクションのアイドルたちだ。
実のところ、Altessimoはアイドルを、ぼくはプロデューサーの仕事を、今でもしっかり続けている。
賢君も変わらず、315プロダクションの事務員として働いており、ぼくたちはいつでも多忙な状態だ。
けれど、そんなことは一切苦にならない。
なぜなら、ぼくたちには大きな目標があるから。
「貴殿!」
「プロデューサーさん」
2人に呼ばれ、ぼくは今日も気合いをいれる。
目指すはトップアイドル。
そして、業界トップクラスの、温泉旅館だ。
終