さいこうの夜 Beit篇 Bルート
突然、好奇心が湧き上がった。
この扉の向こうに、アイドルのステージと同じくらい、輝く世界が待っている気がする。
「あっ、プロデューサー! 待てって!」
鷹城さんが慌てて止めようとするが、遅かった。
「恭二、俺たちも行こう!」
「みんなで冒険、えいえいおー!」
ぼくたちは扉を開け、一歩踏み出した。
すると、その時……。
コミカルな爆発音が起きる!
ふと気付くと、ぼくたちは全員カエールの姿に変身し ていた……!!
「……おい、嘘だろ」
「ケロッケロ〜♪ みんなカエール!」
「へえ、俺たちも意外と似合ってるかも?」
ぼくも、結構可愛く見える。それにしても、ここは一体どこなんだろう?不思議に思っていると、遠くから大勢の足音がザッザッと近づいてきた……。
「ようこそカエルの王国へ☆ 私はカエルの王様です」
声をかけてきたのは、ぼくたちと同じカエールの格好をした人物だった。
周りにはたくさんのカエルを従えている。
見るからに怪しい……。
「油断しちゃダメだ! ほんわかしたキャラに限って、合体するとすげー攻撃を仕掛けてくる!」
鷹城さんの言葉を聞いて、ぼくたちにも緊張が走った。
「みんな、俺の後ろに隠れててくれ」
鷹城さんの全身から、自信がみなぎっている。
「いつの間にかジャンルが変わってるけど……この手のバトルゲームも、俺はプレイ済みだ」
「恭二、すっごくカッコイイ!」
「うんうん、俺も胸が熱くなってきたよ」
今の鷹城さんは、さながらゲームの主人公のようだ。
どこからともなく、勇壮な音楽が聞こえてくる……。
俺が恭二だ
……男の大活躍……
作詞 渡辺 みのり
作曲 ピエール
「え……なんすかこの曲。カラオケ……?」
「そうだよ! 今、最高にかっこいいシーンだったからね。ここで一曲熱唱すれば、全世界が恭二に恋しちゃうよ!」
「やふー! 恭二の歌、ワクワク!」
「ピ、ピエールまで……マジかよ」
期待を込めて、ぼくも拍手を送る。
カエルたちからも歓声が沸き起こり、鷹城さんも乗り気になったようだ。
「それでは、歌っていただきましょう! 鷹城恭二さんで『俺が恭二だ……男の大活躍……』です。張り切ってどうぞ~!」
カエルの王様が、賑やかに曲を紹介する。
鷹城さんが歌い出すと、みんなもカエルたちも手拍子を打つ。一緒になって盛り上がる、楽しい歌謡ステージが始まった。けれど……。
「あ、あれ……? どうしてだろう……俺、すごく眠くなってきちゃったよ」
「恭二の歌、もっと聞きたい。けど……ボクも、うとうとしてる……」
みのりさんとピエールが、こっくりと船を漕ぎ始める。
「ちょ、2人ともどうしたんだよ……!」
鷹城さんは歌うのを止めて、慌てて声をかけている。
周りを見渡すと、カエルたちも眠そうにしていた。
これは、ひょっとして……。
「そうだよね……春と言えば、まだカエルは冬眠している時期だもんね」
「ボクたち、カエルになった。だから、眠いのかなぁ……」
ぽかぽかお天気に、暖かい陽の光が注ぐ。2人の気持ちよさそうな顔を見ていると、ぼくまで頭がぼんやりしてきた。
「おい、みのりさん、ピエール! プロデューサーも! こんな場所で寝たら危ないって」
鷹城さんは、必死にぼくたちを起こそうとしている。
すると……。
ピエールが、鷹城さんの袖を引いた。
「……恭二、みんなで一緒に、お昼寝、しよ?」
ぐっと息を呑む音がした。ピエールのまっすぐな瞳が、鷹城さんを見つめている……。
「……けん、悪い。もう俺たちはここまでみたいだ。 目が覚めたら、ちゃんと、探しに行くから……」
そう呟くと、鷹城さんは微睡み始める。みのりさんとピエールも安らかな寝息を立てている。
こうして……。ぼくたちは、川の字になってスヤスヤと眠った。カエルと一緒にぐっすり休んで、日頃の疲れを癒したのだった。
終
この扉の向こうに、アイドルのステージと同じくらい、輝く世界が待っている気がする。
「あっ、プロデューサー! 待てって!」
鷹城さんが慌てて止めようとするが、遅かった。
「恭二、俺たちも行こう!」
「みんなで冒険、えいえいおー!」
ぼくたちは扉を開け、一歩踏み出した。
すると、その時……。
コミカルな爆発音が起きる!
ふと気付くと、ぼくたちは全員カエールの姿に変身し ていた……!!
「……おい、嘘だろ」
「ケロッケロ〜♪ みんなカエール!」
「へえ、俺たちも意外と似合ってるかも?」
ぼくも、結構可愛く見える。それにしても、ここは一体どこなんだろう?不思議に思っていると、遠くから大勢の足音がザッザッと近づいてきた……。
「ようこそカエルの王国へ☆ 私はカエルの王様です」
声をかけてきたのは、ぼくたちと同じカエールの格好をした人物だった。
周りにはたくさんのカエルを従えている。
見るからに怪しい……。
「油断しちゃダメだ! ほんわかしたキャラに限って、合体するとすげー攻撃を仕掛けてくる!」
鷹城さんの言葉を聞いて、ぼくたちにも緊張が走った。
「みんな、俺の後ろに隠れててくれ」
鷹城さんの全身から、自信がみなぎっている。
「いつの間にかジャンルが変わってるけど……この手のバトルゲームも、俺はプレイ済みだ」
「恭二、すっごくカッコイイ!」
「うんうん、俺も胸が熱くなってきたよ」
今の鷹城さんは、さながらゲームの主人公のようだ。
どこからともなく、勇壮な音楽が聞こえてくる……。
俺が恭二だ
……男の大活躍……
作詞 渡辺 みのり
作曲 ピエール
「え……なんすかこの曲。カラオケ……?」
「そうだよ! 今、最高にかっこいいシーンだったからね。ここで一曲熱唱すれば、全世界が恭二に恋しちゃうよ!」
「やふー! 恭二の歌、ワクワク!」
「ピ、ピエールまで……マジかよ」
期待を込めて、ぼくも拍手を送る。
カエルたちからも歓声が沸き起こり、鷹城さんも乗り気になったようだ。
「それでは、歌っていただきましょう! 鷹城恭二さんで『俺が恭二だ……男の大活躍……』です。張り切ってどうぞ~!」
カエルの王様が、賑やかに曲を紹介する。
鷹城さんが歌い出すと、みんなもカエルたちも手拍子を打つ。一緒になって盛り上がる、楽しい歌謡ステージが始まった。けれど……。
「あ、あれ……? どうしてだろう……俺、すごく眠くなってきちゃったよ」
「恭二の歌、もっと聞きたい。けど……ボクも、うとうとしてる……」
みのりさんとピエールが、こっくりと船を漕ぎ始める。
「ちょ、2人ともどうしたんだよ……!」
鷹城さんは歌うのを止めて、慌てて声をかけている。
周りを見渡すと、カエルたちも眠そうにしていた。
これは、ひょっとして……。
「そうだよね……春と言えば、まだカエルは冬眠している時期だもんね」
「ボクたち、カエルになった。だから、眠いのかなぁ……」
ぽかぽかお天気に、暖かい陽の光が注ぐ。2人の気持ちよさそうな顔を見ていると、ぼくまで頭がぼんやりしてきた。
「おい、みのりさん、ピエール! プロデューサーも! こんな場所で寝たら危ないって」
鷹城さんは、必死にぼくたちを起こそうとしている。
すると……。
ピエールが、鷹城さんの袖を引いた。
「……恭二、みんなで一緒に、お昼寝、しよ?」
ぐっと息を呑む音がした。ピエールのまっすぐな瞳が、鷹城さんを見つめている……。
「……けん、悪い。もう俺たちはここまでみたいだ。 目が覚めたら、ちゃんと、探しに行くから……」
そう呟くと、鷹城さんは微睡み始める。みのりさんとピエールも安らかな寝息を立てている。
こうして……。ぼくたちは、川の字になってスヤスヤと眠った。カエルと一緒にぐっすり休んで、日頃の疲れを癒したのだった。
終