さいこうの夜 F-LAGS篇 Bルート
ぼくはつい、怪しげなキノコを手に取ってしまった。
無類のキノコ好きというわけでもない……。
しかし、なぜかこのキノコに関しては、食べたいという欲がむくむく湧いて出てきて、その欲求は抑えられそうにない!
ぼくはフライパンを取り出し、キノコを放り込むと冷蔵庫からバターを少しお借りして、ざざっと強火で炒めた。
ほんのり香るバターと少し焦げ目のついたキノコが、ぼくの食欲をさらに刺激する。
そこに垂らすのは数滴の醤油。完璧だ。
そして熱々をキノコをふうふうしながら、口に運ぶ。(※「熱々を」→「熱々の」)
鼻を突き抜ける濃厚で芳醇な香り、程よい弾力のある食感、そして噛めば噛むほど飛び出る旨味。
まさに315の味!!!!
ふおおお、ううう、ううううまいぞ~!!!!!
こんな、うまいキノコは、生まれてはじめてだ~!!
「!? プロデューサーさん、体が!」
涼が目を白黒させながら、ぼくを指差していた。
あれ?
涼、大吾、九十九さん。
みんな、なぜ小さくなっているのだろう?
これじゃあ、人形みたいな大きさじゃないか。
そういえば、談話室にあるソファーやテーブルも、みんな小さくなっている気がした。
いや、違う。
ぼくが大きくなっているんだ!
巨大化していく体を止める術を知らないぼくは、ついにペンションの天井を突き破ってしまった。
「ボス! デカくなって羨ましいのぉ」
あまりに大きくなったぼくを見上げた大吾は、目をキラキラと輝かせている。
「よし、ワシもデッカい男になるけぇ!」
大吾も勢いよく謎キノコのソテーを食べてしまった!
「大吾くんまでそんな知らないキノコ食べて! 大丈夫なのかな……」
大吾とぼくを涼は不安そうに見上げていた。
残ったキノコを手にとって見ていた九十九さんはこう呟いた。
「……それはおそらくニョキニョキタケだ。体が大きくなる伝説のキノコかもしれない。みんな、大丈夫だ、毒はない」
そんなキノコあるかー!
思わずツッコミをしたくなったか、だめだ。
全力でツッコミをしたら、ペンションを潰してしまうかもしれない。
「おお! デカくなって向こうの山までよく見えるぞ!」
大きくなった体をみて、大吾ははなまる笑顔になっていた。
「毒がないなら、まあ、大丈夫かな」
ちょっと安心したような、どこか羨ましそうな顔をしていた涼は、ぽつりと漏らした。
「……体が大きくなるって、男らしくてちょっと憧れるなぁ」
「プロデューサーと大吾もキノコを食べたし。……おれたちも食べてみるか」
なぜか涼と一希さんもキノコを食べてしまった。
2人も、ぼくや大吾と同じように体が大きくなっていく。
「これならペンションどころか、山全体も見渡せます! これで賢くんを探しましょう!」
涼もなぜかやる気満々だ。
凍えるような吹雪さえ、巨大化した体にはまるで冷房の風程度にしか感じられない。
これなら探しに行けそうだ!
足元をみると、穴らしきものが見える。
どうやら天井だけでなく、床にも穴を開けてしまったようだ。
小林夫妻にはあとで謝罪してぼくたちで修理しなければ。
しかし、この地下に続いているような穴に何か秘密があったのかもしれない。
漠然とした考えがふと脳裏をよぎる。
それに巨大化したのはいいが、どうやったら元の大きさに戻れるのだろうか?
……細かいことはあとで考えよう。
とりあえず、今は一刻も早く賢君を探すことだ!
巨大化したぼくたちは向こうの山を目指して一歩踏み出すのであった。
終
無類のキノコ好きというわけでもない……。
しかし、なぜかこのキノコに関しては、食べたいという欲がむくむく湧いて出てきて、その欲求は抑えられそうにない!
ぼくはフライパンを取り出し、キノコを放り込むと冷蔵庫からバターを少しお借りして、ざざっと強火で炒めた。
ほんのり香るバターと少し焦げ目のついたキノコが、ぼくの食欲をさらに刺激する。
そこに垂らすのは数滴の醤油。完璧だ。
そして熱々をキノコをふうふうしながら、口に運ぶ。(※「熱々を」→「熱々の」)
鼻を突き抜ける濃厚で芳醇な香り、程よい弾力のある食感、そして噛めば噛むほど飛び出る旨味。
まさに315の味!!!!
ふおおお、ううう、ううううまいぞ~!!!!!
こんな、うまいキノコは、生まれてはじめてだ~!!
「!? プロデューサーさん、体が!」
涼が目を白黒させながら、ぼくを指差していた。
あれ?
涼、大吾、九十九さん。
みんな、なぜ小さくなっているのだろう?
これじゃあ、人形みたいな大きさじゃないか。
そういえば、談話室にあるソファーやテーブルも、みんな小さくなっている気がした。
いや、違う。
ぼくが大きくなっているんだ!
巨大化していく体を止める術を知らないぼくは、ついにペンションの天井を突き破ってしまった。
「ボス! デカくなって羨ましいのぉ」
あまりに大きくなったぼくを見上げた大吾は、目をキラキラと輝かせている。
「よし、ワシもデッカい男になるけぇ!」
大吾も勢いよく謎キノコのソテーを食べてしまった!
「大吾くんまでそんな知らないキノコ食べて! 大丈夫なのかな……」
大吾とぼくを涼は不安そうに見上げていた。
残ったキノコを手にとって見ていた九十九さんはこう呟いた。
「……それはおそらくニョキニョキタケだ。体が大きくなる伝説のキノコかもしれない。みんな、大丈夫だ、毒はない」
そんなキノコあるかー!
思わずツッコミをしたくなったか、だめだ。
全力でツッコミをしたら、ペンションを潰してしまうかもしれない。
「おお! デカくなって向こうの山までよく見えるぞ!」
大きくなった体をみて、大吾ははなまる笑顔になっていた。
「毒がないなら、まあ、大丈夫かな」
ちょっと安心したような、どこか羨ましそうな顔をしていた涼は、ぽつりと漏らした。
「……体が大きくなるって、男らしくてちょっと憧れるなぁ」
「プロデューサーと大吾もキノコを食べたし。……おれたちも食べてみるか」
なぜか涼と一希さんもキノコを食べてしまった。
2人も、ぼくや大吾と同じように体が大きくなっていく。
「これならペンションどころか、山全体も見渡せます! これで賢くんを探しましょう!」
涼もなぜかやる気満々だ。
凍えるような吹雪さえ、巨大化した体にはまるで冷房の風程度にしか感じられない。
これなら探しに行けそうだ!
足元をみると、穴らしきものが見える。
どうやら天井だけでなく、床にも穴を開けてしまったようだ。
小林夫妻にはあとで謝罪してぼくたちで修理しなければ。
しかし、この地下に続いているような穴に何か秘密があったのかもしれない。
漠然とした考えがふと脳裏をよぎる。
それに巨大化したのはいいが、どうやったら元の大きさに戻れるのだろうか?
……細かいことはあとで考えよう。
とりあえず、今は一刻も早く賢君を探すことだ!
巨大化したぼくたちは向こうの山を目指して一歩踏み出すのであった。
終