さいこうの夜 FRAME篇 Aルート
「とりあえず、大きめのタオルを借りることはできないか?」
英雄さんの提案に、ぼくたちはうなずいた。
賢君を探すためにも、まずは龍の体を温めたい。
「こんなに大きいペンションだ。龍を包み込めるくらいのタオルがどこかにあるだろうからな」
「ああ。龍の体を温めてから、賢探しを再開しよう」
「英雄さん誠司さん、ありがとうございます!さっきから助けられてばっかりですね」
「礼には及ばない。龍の行動によって自分たちはヒントを得ながら行動できている」
「たしかにそうだな。龍がお茶をこぼさなかったら、最初に賢の足取りは掴めなかった」
この非常事態の時にもこうして支え合っている彼らなら、きっと賢君の居場所をも見つけることができる。
そう確信したぼくは、信玄さんの号令のもと、まずは大きなタオルを捜索することにした。
いくぶん広いペンションだが、タオルのありかといえば洗面所が一般的だ。
このペンションには大浴場はなく、それぞれの部屋に洗面所や浴室がある構造になっている。
だが、先ほど部屋の洗面所を見たところ、大きなタオルは置いていなかった。
それなら別の場所に大きなタオルがある可能性があるかもしれない。
ペンションの中に備品を置いておくような倉庫がもしあるとしたら……?
ぼくはその可能性を3人に伝え、倉庫を探すことにした。
厨房を出た僕たちは、いったん談話室に戻る。
「あれ……?」
何かに気づいた龍に、英雄が話しかけた。
「ん、どうしたんだ龍」
龍が指差す先には、玄関の隣に位置している地下へ続く階段があった。
「こんなところに、階段があったのか」
ぼくたちは階段を降りてみることにした。
階段を降りると、湿った風が漂う空間があった。
薄明かりの下で目をこらしてみると、空間はそれなりの広さがあり、奥にはドアがいくつか並んでいるのが見える。
「こんな場所があるなんて、気づかなかったぜ」
「ここならタオルがあるかもしれないですね」
「ああ、その可能性はあるな」
歩みを進めていくうちに、英雄さんが何かに気づいた様子だった。
「もしかして、ここにあるんじゃないか?」
そう言って英雄さんが指差しているドアには、うっすらと備品倉庫という文字が書かれてあった。
「お邪魔します」
誰もいないのだが、一応声をかけ中に入ってみると、 一部屋の中にはタオルが山積みになっていた。
「よかった、1枚借ります!」
龍は大きなタオルをかぶり、体を温めている。
……そのときだった。
「う、うっ、ううっ……」
風の音とともに、どこからかむせび泣くような声が聞こえてくる。
「この声……いや、まさかな」
「英雄さんにも聞こえてますよね?これ、もしかして……」
「お化け……なんてな」
3人は顔を見合わせ、苦笑する。
お化けなんて存在するのだろうか?
じゃあ、この声は?
ぼくたちがたどり着いた思想はただ1つ。
……賢君だ。きっと、どこかこの広い地下室のどこかにいる。
何か理由があり、泣いているのだろう。
見たところ同じような倉庫が並んでいるし、どこかの<備品倉庫>の中に賢君がいるかもしれない。これは大きな収穫だ。
ぼくたちはお互いの顔を見合わせる。
「談話室に戻って、このことを社長に報告しよう」
信玄さんの号令のもと、ぼくたちは急いで談話室に戻る。
社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと
NEXT→
英雄さんの提案に、ぼくたちはうなずいた。
賢君を探すためにも、まずは龍の体を温めたい。
「こんなに大きいペンションだ。龍を包み込めるくらいのタオルがどこかにあるだろうからな」
「ああ。龍の体を温めてから、賢探しを再開しよう」
「英雄さん誠司さん、ありがとうございます!さっきから助けられてばっかりですね」
「礼には及ばない。龍の行動によって自分たちはヒントを得ながら行動できている」
「たしかにそうだな。龍がお茶をこぼさなかったら、最初に賢の足取りは掴めなかった」
この非常事態の時にもこうして支え合っている彼らなら、きっと賢君の居場所をも見つけることができる。
そう確信したぼくは、信玄さんの号令のもと、まずは大きなタオルを捜索することにした。
いくぶん広いペンションだが、タオルのありかといえば洗面所が一般的だ。
このペンションには大浴場はなく、それぞれの部屋に洗面所や浴室がある構造になっている。
だが、先ほど部屋の洗面所を見たところ、大きなタオルは置いていなかった。
それなら別の場所に大きなタオルがある可能性があるかもしれない。
ペンションの中に備品を置いておくような倉庫がもしあるとしたら……?
ぼくはその可能性を3人に伝え、倉庫を探すことにした。
厨房を出た僕たちは、いったん談話室に戻る。
「あれ……?」
何かに気づいた龍に、英雄が話しかけた。
「ん、どうしたんだ龍」
龍が指差す先には、玄関の隣に位置している地下へ続く階段があった。
「こんなところに、階段があったのか」
ぼくたちは階段を降りてみることにした。
階段を降りると、湿った風が漂う空間があった。
薄明かりの下で目をこらしてみると、空間はそれなりの広さがあり、奥にはドアがいくつか並んでいるのが見える。
「こんな場所があるなんて、気づかなかったぜ」
「ここならタオルがあるかもしれないですね」
「ああ、その可能性はあるな」
歩みを進めていくうちに、英雄さんが何かに気づいた様子だった。
「もしかして、ここにあるんじゃないか?」
そう言って英雄さんが指差しているドアには、うっすらと備品倉庫という文字が書かれてあった。
「お邪魔します」
誰もいないのだが、一応声をかけ中に入ってみると、 一部屋の中にはタオルが山積みになっていた。
「よかった、1枚借ります!」
龍は大きなタオルをかぶり、体を温めている。
……そのときだった。
「う、うっ、ううっ……」
風の音とともに、どこからかむせび泣くような声が聞こえてくる。
「この声……いや、まさかな」
「英雄さんにも聞こえてますよね?これ、もしかして……」
「お化け……なんてな」
3人は顔を見合わせ、苦笑する。
お化けなんて存在するのだろうか?
じゃあ、この声は?
ぼくたちがたどり着いた思想はただ1つ。
……賢君だ。きっと、どこかこの広い地下室のどこかにいる。
何か理由があり、泣いているのだろう。
見たところ同じような倉庫が並んでいるし、どこかの<備品倉庫>の中に賢君がいるかもしれない。これは大きな収穫だ。
ぼくたちはお互いの顔を見合わせる。
「談話室に戻って、このことを社長に報告しよう」
信玄さんの号令のもと、ぼくたちは急いで談話室に戻る。
社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと
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