さいこうの夜 High×Joker篇 Aルート
旬、夏来についていくことにした。
この2人となら、堅実に賢君を探せそうな気がする。
捜索隊が二手に分かれたところで、早速四季、隼人、春名はテンション高く厨房へと駆け込んでいった。
「じゃあ僕たちは食堂辺りで何か手掛かりになるものを探しましょうか」 ぼくと夏来は静かにうなずき、旬の後を追った。
「たしか賢さんは、いなくなる前までここで普通に夕食をとっていたような気がします」
「俺も……見た……」
そうだ。たしかにぼくも賢君が食事をしている姿を見かけた。
だが、そのあとのことが記憶からスッポリ抜けてしまっている。
あれだけの人数が食事をとっていたんだ。
覚えていないのも無理はない。
集中して探さないと、と思った瞬間、旬がぼそっと口を開く。
「そういえば……今思い出したんですけど」
「ジュン、いきなりどうしたの?」
「先週読んだ本の内容に、少し展開が似ているんです」
先ほどの隼人のようなことを言っている旬に、ぼくと夏来は旬の顔を見つめ、言葉を待つ。
「その本でも、同じようにペンションで1人失踪するんです。残されたヒントを手掛かりにペンションの中を探すっていう話なんですけど」
ぼくたちが置かれている状況と似ている。
ぼくと夏来は、旬の話を聞きもらすまいと耳を傾けた。
「その小説の話では、残されたヒント自体も偶然による産物だったし、失踪したきっかけも人為的なことでなく些細なことが原因だったんです」
「些細なことって……?」
夏来が旬に尋ねると、旬は苦笑いしながらぼくたちに話し出す。
「犯人も何もいなかったんだよ。猫を追いかけていたら、倉庫に閉じ込められてしまったってオチ。あれにはがっかりしたな」
旬の話から何かヒントを得られるかもしれないと思ったぼくは、少し肩を落とした。
「誰か犯人がいるだろうと思って読んだので肩透かしでしたが、【倉庫】にたどり着く過程の描写がとても面白くて、どんどん読み進められました」
そういうミステリー小説もあるのか。
「……まあ、あくまで小説の話なので」
……。
発想を転換させてみるのはいいかもしれない。
失踪は偶然の産物だった……として
じゃあ、あの残されたメモはなんだったんだ?
それも、もしかして偶然?
……いや、でも……
ぐるぐると思考を巡らせていると、旬と夏来に別の部屋を探そうと声をかけられた。
だが、ぼくはひとまず得られた情報を伝えるために、
社長のもとへ行くことにした。2人に断りを入れ、談話室へ向かう。
談話室のソファに座っていた社長に近づく。
ぼくに気づくと
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この2人となら、堅実に賢君を探せそうな気がする。
捜索隊が二手に分かれたところで、早速四季、隼人、春名はテンション高く厨房へと駆け込んでいった。
「じゃあ僕たちは食堂辺りで何か手掛かりになるものを探しましょうか」 ぼくと夏来は静かにうなずき、旬の後を追った。
「たしか賢さんは、いなくなる前までここで普通に夕食をとっていたような気がします」
「俺も……見た……」
そうだ。たしかにぼくも賢君が食事をしている姿を見かけた。
だが、そのあとのことが記憶からスッポリ抜けてしまっている。
あれだけの人数が食事をとっていたんだ。
覚えていないのも無理はない。
集中して探さないと、と思った瞬間、旬がぼそっと口を開く。
「そういえば……今思い出したんですけど」
「ジュン、いきなりどうしたの?」
「先週読んだ本の内容に、少し展開が似ているんです」
先ほどの隼人のようなことを言っている旬に、ぼくと夏来は旬の顔を見つめ、言葉を待つ。
「その本でも、同じようにペンションで1人失踪するんです。残されたヒントを手掛かりにペンションの中を探すっていう話なんですけど」
ぼくたちが置かれている状況と似ている。
ぼくと夏来は、旬の話を聞きもらすまいと耳を傾けた。
「その小説の話では、残されたヒント自体も偶然による産物だったし、失踪したきっかけも人為的なことでなく些細なことが原因だったんです」
「些細なことって……?」
夏来が旬に尋ねると、旬は苦笑いしながらぼくたちに話し出す。
「犯人も何もいなかったんだよ。猫を追いかけていたら、倉庫に閉じ込められてしまったってオチ。あれにはがっかりしたな」
旬の話から何かヒントを得られるかもしれないと思ったぼくは、少し肩を落とした。
「誰か犯人がいるだろうと思って読んだので肩透かしでしたが、【倉庫】にたどり着く過程の描写がとても面白くて、どんどん読み進められました」
そういうミステリー小説もあるのか。
「……まあ、あくまで小説の話なので」
……。
発想を転換させてみるのはいいかもしれない。
失踪は偶然の産物だった……として
じゃあ、あの残されたメモはなんだったんだ?
それも、もしかして偶然?
……いや、でも……
ぐるぐると思考を巡らせていると、旬と夏来に別の部屋を探そうと声をかけられた。
だが、ぼくはひとまず得られた情報を伝えるために、
社長のもとへ行くことにした。2人に断りを入れ、談話室へ向かう。
談話室のソファに座っていた社長に近づく。
ぼくに気づくと
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