さいこうの夜 High×Joker篇 Bルート
四季、隼人、春名についていくことにした。
行動力がある彼らなら、何かしらの手掛かりを見つけられる気がする。
「じゃあ、僕とナツキは向こうを見てくるよ」
そう言い残し、旬と夏来は足早に食堂へと去っていった。
人数が多いHigh×Jokerは、探す際二手に分かれた方が効率的だ。
だが、この組み合わせで本当によかったのか……一抹の不安が胸をよぎる。
「わあ! そうだ、思い出した!」
「どうしたんすか、ハヤトっち。大きい声だして」
「この展開、やっぱりホラー映画の通りだ!」
……失敗したかもしれない。ぼくはそう思った。
「ジュンとナツキが危ない……! あの2人を守らな いと!」
「でも、守るってどうやって?」
「へへーん! オレにいい考えがあるっす! みんな、ついてきてほしいっす!」
さっきまでおびえていたはずの四季は、いつの間にか興奮した様子で目を輝かせていた。
何が起こるかわからないが、奇跡を信じ、ぼくは彼らについていくことにした。
ついていった先は厨房だった。
小林夫妻が夕食を作ってくれていた場所だ。
ここに旬と夏来を守る何かがあるのか……?
「これこれ! これがないとはじまらないっす!」
そう言って四季が手にとったのは、厨房にある大きめのボウルやおたまなど、調理器具だった。
「これを一体どうするんだ?」
春名が尋ねた。当然の疑問だろう。
すると四季は手に持っている大きめのボウルをおもむろに被り、片手におたま、片手にハンドミキサーを装備した。
そう、もはやこれは装備だ。
「こうやって、犯人と遭遇した時のために、武装をするっす!」
一瞬、ヒューと風の音だけが聞こえた。
沈黙を破ったのは隼人と春名の興奮したような声だった。
「ナイスアイデアだな、シキ!」
「さすがシキ! 武装しないとはじまらないよな!」
ワイワイ盛り上がっている彼らに、ぼくも空気を壊さないように賛同する。
……選択したのはぼくだ。
その選択によってどんな運命を辿ることになろうと、
ぼくが責任をとらなければならない。
ぼくは思い切ってボウルを手にし、頭に被った。
「プロデューサーちゃん、いいっすね! 似合ってるっす!」
想像以上の反応に、少し照れてしまう。
4人で武装を進めていく中、春名か隼人に問いかけた。
「で、結局そのホラー映画のオチってなんなんだ?」
いつの間にか武装に夢中になっていて気がつかなかったが、確かにそうだ。
映画の内容が何かしらのヒントになるかもしれない。
「いや~それが思い出せなくて……さっきからずっと考えてるんだけど、どうだったっけな」
頭を捻らせている隼人をじっと見つめるぼくと2人。
一縷の希望を胸に、固唾を飲んで隼人の言葉を待つ。
「実は……ってオチだったんだよな。たしか……実は人間が犯人と見せかけて……」
全員が隼人の次の言葉を待つ。
「あっ、思い出した! 宇宙ゾンビが犯人で、ウイルスで全滅するんだ!!」
「……………………」
3人は顔を見合わせ、こう高らかに叫んだ。
「いや、武装意味ないじゃーん!」
ズッコケるぼくたち。高らかに響く笑い声。
外は吹雪だが、ぼくたちの周りは温かな空気に包まれた。
こんな日があってもいいかもしれない。
……だが、何かを忘れている気がする。
とても大事なことだったような……
終
行動力がある彼らなら、何かしらの手掛かりを見つけられる気がする。
「じゃあ、僕とナツキは向こうを見てくるよ」
そう言い残し、旬と夏来は足早に食堂へと去っていった。
人数が多いHigh×Jokerは、探す際二手に分かれた方が効率的だ。
だが、この組み合わせで本当によかったのか……一抹の不安が胸をよぎる。
「わあ! そうだ、思い出した!」
「どうしたんすか、ハヤトっち。大きい声だして」
「この展開、やっぱりホラー映画の通りだ!」
……失敗したかもしれない。ぼくはそう思った。
「ジュンとナツキが危ない……! あの2人を守らな いと!」
「でも、守るってどうやって?」
「へへーん! オレにいい考えがあるっす! みんな、ついてきてほしいっす!」
さっきまでおびえていたはずの四季は、いつの間にか興奮した様子で目を輝かせていた。
何が起こるかわからないが、奇跡を信じ、ぼくは彼らについていくことにした。
ついていった先は厨房だった。
小林夫妻が夕食を作ってくれていた場所だ。
ここに旬と夏来を守る何かがあるのか……?
「これこれ! これがないとはじまらないっす!」
そう言って四季が手にとったのは、厨房にある大きめのボウルやおたまなど、調理器具だった。
「これを一体どうするんだ?」
春名が尋ねた。当然の疑問だろう。
すると四季は手に持っている大きめのボウルをおもむろに被り、片手におたま、片手にハンドミキサーを装備した。
そう、もはやこれは装備だ。
「こうやって、犯人と遭遇した時のために、武装をするっす!」
一瞬、ヒューと風の音だけが聞こえた。
沈黙を破ったのは隼人と春名の興奮したような声だった。
「ナイスアイデアだな、シキ!」
「さすがシキ! 武装しないとはじまらないよな!」
ワイワイ盛り上がっている彼らに、ぼくも空気を壊さないように賛同する。
……選択したのはぼくだ。
その選択によってどんな運命を辿ることになろうと、
ぼくが責任をとらなければならない。
ぼくは思い切ってボウルを手にし、頭に被った。
「プロデューサーちゃん、いいっすね! 似合ってるっす!」
想像以上の反応に、少し照れてしまう。
4人で武装を進めていく中、春名か隼人に問いかけた。
「で、結局そのホラー映画のオチってなんなんだ?」
いつの間にか武装に夢中になっていて気がつかなかったが、確かにそうだ。
映画の内容が何かしらのヒントになるかもしれない。
「いや~それが思い出せなくて……さっきからずっと考えてるんだけど、どうだったっけな」
頭を捻らせている隼人をじっと見つめるぼくと2人。
一縷の希望を胸に、固唾を飲んで隼人の言葉を待つ。
「実は……ってオチだったんだよな。たしか……実は人間が犯人と見せかけて……」
全員が隼人の次の言葉を待つ。
「あっ、思い出した! 宇宙ゾンビが犯人で、ウイルスで全滅するんだ!!」
「……………………」
3人は顔を見合わせ、こう高らかに叫んだ。
「いや、武装意味ないじゃーん!」
ズッコケるぼくたち。高らかに響く笑い声。
外は吹雪だが、ぼくたちの周りは温かな空気に包まれた。
こんな日があってもいいかもしれない。
……だが、何かを忘れている気がする。
とても大事なことだったような……
終