さいこうの夜 S.E.M篇 Aルート
クローゼットの中を調べてみよう。
ぼくはクローゼットの取っ手を引っ張ってみたが、どうやら鍵がかかっているようだ。
「ふむ、鍵穴や南京錠のようなものは……ついていないようだな」
「じゃあ、何か引っかかって開かないのかもしれませんね」
山下さんが扉をガチャガチャと半ば強引に引っ張ると、中からゴトという何かが倒れるような音がした。
もしかして、ここに賢君が閉じ込められていることはないだろうか?
たとえば、みんなに食後のお茶を淹れるため、茶葉を取りに来た。そして何か理由があって、ここに閉じ込められてしまった。……そんなことはないだろうか?
「け、賢君!?」
ぼくは思わず声をかけてみたが、返事はない。
もし推理通り賢君がここにいるなら、気を失っているのかもしれない。
「ここに賢君がいるかもしれません!」
もしそうなら一刻も早く開けて助けてあげなければ!
硲さんはポケットからペンとメモ帳と取り出し、クローゼットを開けるための何やら難しい数式をものすごい勢いで書き出しはじめた。
「これなんか、グリグリしたら開くんじゃないかな」
山下さんは扉を押したり、引いたりしている。
「I got it! ここはまかせて☆」
少し考えるポーズをした後で舞田さんがクローゼットの前に立った。
「開かない扉にはmagical spellって決まっているんだよね!」
何かモニャモニャと呪文らしき言葉を唱えた後、舞田さんは大声で叫んだ。
「Open sesame!!!」
………………。
いやいや、いやいやいや!
いくら何でもそんな言葉で開くはずはないでしょ!
口には出さずに心の中で舞田さんへツッコミを入れていたところ、ギギギギギギギという音ともに、なぜか勝手にクローゼットの扉が開いた。
「Oh yeah! やったね☆」
なぜ呪文で開いたのか、今は考えないでおこう。
中を確認すると、賢君はいなかった。
がっかりしながらも、ここに閉じ込められていたら大変なことになっていただろう。
そう思うと少しホッとする。
ふとクローゼットの奥に、ボストンバックが置いてあるのが見えた。中を開けてみると、パッションと書かれたものがたくさん出てきた。
これはもしや社長の荷物なのでは……?
「確か、一番奥の部屋は社長が使うと言っていたな」
……早く言ってほしかった。
勝手にクローゼットを開けてしまったし、謎の合言葉で開けてしまったから締め方もわからない。
とりあえず無断で開けてしまったことは事実だ。
社長に謝りに行こう。
「合言葉っていうか、暗号で開く鍵って、なんだかミステリー小説みたいだねぇ。よくあるでしょ、倉庫の扉を開けるために秘密の暗号入れるの」 「Wow、隠された場所にあるやつ! Movieみたいだ☆」
隠された場所、それに【倉庫】か……。
彼らが口にした言葉やクローゼットの仕掛けも引っかかったが、とにかく社長の元へ急ぐことにした。
NEXT→
ぼくはクローゼットの取っ手を引っ張ってみたが、どうやら鍵がかかっているようだ。
「ふむ、鍵穴や南京錠のようなものは……ついていないようだな」
「じゃあ、何か引っかかって開かないのかもしれませんね」
山下さんが扉をガチャガチャと半ば強引に引っ張ると、中からゴトという何かが倒れるような音がした。
もしかして、ここに賢君が閉じ込められていることはないだろうか?
たとえば、みんなに食後のお茶を淹れるため、茶葉を取りに来た。そして何か理由があって、ここに閉じ込められてしまった。……そんなことはないだろうか?
「け、賢君!?」
ぼくは思わず声をかけてみたが、返事はない。
もし推理通り賢君がここにいるなら、気を失っているのかもしれない。
「ここに賢君がいるかもしれません!」
もしそうなら一刻も早く開けて助けてあげなければ!
硲さんはポケットからペンとメモ帳と取り出し、クローゼットを開けるための何やら難しい数式をものすごい勢いで書き出しはじめた。
「これなんか、グリグリしたら開くんじゃないかな」
山下さんは扉を押したり、引いたりしている。
「I got it! ここはまかせて☆」
少し考えるポーズをした後で舞田さんがクローゼットの前に立った。
「開かない扉にはmagical spellって決まっているんだよね!」
何かモニャモニャと呪文らしき言葉を唱えた後、舞田さんは大声で叫んだ。
「Open sesame!!!」
………………。
いやいや、いやいやいや!
いくら何でもそんな言葉で開くはずはないでしょ!
口には出さずに心の中で舞田さんへツッコミを入れていたところ、ギギギギギギギという音ともに、なぜか勝手にクローゼットの扉が開いた。
「Oh yeah! やったね☆」
なぜ呪文で開いたのか、今は考えないでおこう。
中を確認すると、賢君はいなかった。
がっかりしながらも、ここに閉じ込められていたら大変なことになっていただろう。
そう思うと少しホッとする。
ふとクローゼットの奥に、ボストンバックが置いてあるのが見えた。中を開けてみると、パッションと書かれたものがたくさん出てきた。
これはもしや社長の荷物なのでは……?
「確か、一番奥の部屋は社長が使うと言っていたな」
……早く言ってほしかった。
勝手にクローゼットを開けてしまったし、謎の合言葉で開けてしまったから締め方もわからない。
とりあえず無断で開けてしまったことは事実だ。
社長に謝りに行こう。
「合言葉っていうか、暗号で開く鍵って、なんだかミステリー小説みたいだねぇ。よくあるでしょ、倉庫の扉を開けるために秘密の暗号入れるの」 「Wow、隠された場所にあるやつ! Movieみたいだ☆」
隠された場所、それに【倉庫】か……。
彼らが口にした言葉やクローゼットの仕掛けも引っかかったが、とにかく社長の元へ急ぐことにした。
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