さいこうの夜 THE 虎牙道篇 その1 、2共通 Bルート
「……あァ? ンだ、あの猫?」
誘うような猫の動きに不信感を抱いたぼくは、そのまま猫が去るのを見送った。
「さあ、賢の捜索を再開するぞ!」
ぼくたちはまだ調べていない2階の部屋に向かった。
「ここにもいないみたいだ……」
ソファの裏、クローゼットの中など、人が入りそうなところは徹底的に調べてみたが、賢君は見当たらなかった。
その時、突然金切り声が部屋中にこだました。
その音は、細く開いたドアの隙間を通り抜け、廊下から僕たちのいる部屋の中まで響いてきたようだった。(※「僕」→「ぼく」)
ぼくは何ごとかと思い、耳をすませると、さらに不気味な音が聞こえてきた。
ズッと布を擦るような不快な音。
ギシッという乾いた木の音は、何者かの足音だろうか……。
ゆっくりゆっくりと、この部屋に向かっている。
僕たちの間に緊張が走った。(※「僕」→「ぼく」)
THE 虎牙道の3人が、戦闘態勢に入った。
3人は扉の先を見つめたままだ。
「師匠……自分の後ろに下がっててほしいッス」
円城寺さんがぼくとタケル、漣を守るように先頭に立った。
「円城寺さん、俺も戦う……。1人より、2人の方がいい」
「はァ!? ざけんなコラ! まずはオレ様がいく! オマエラの出番はねーよ」
なんて頼もしいのだろう。
彼らは『THE 虎牙道』であると同時に、戦士。
すなわちファイターなのだ。
ぼくたちの周りに、緊迫した空気が流れた。
3人は扉の先に、ただならぬ強者の気配を感じていらしい。
ついに不気味な物音が、ぼくたちのいる部屋の前までやってきた。
THE 虎牙道の3人は、それぞれ拳を握り直す。
ギィと音をたてて部屋の扉がゆっくりと開いた。
「……なっ」
「どういうことだ?」
しかし、扉の先には誰もいなかった。
「確かに、扉の先から尋常じゃない気配を感じていたんだが」
「ああ、俺もだ。すごい圧迫されるような、あの感じは……一体?」
「くはは! オレ様にビビって逃げやがったな!」
すると突然、天井の吊るし電球がグラグラと激しく揺れだしたかと思うと、激しい音を立てて窓ガラスが割れた!
「チッ! テメェ、どーやって入りやがったッ!?」
漣の驚くような声が聞こえる。
何か、がいる!
その瞬間、ぼくはアイドルたちを傷つけられまいと前に飛び出した。
「師匠っ!」
ぼくを呼ぶ円城寺さんの声が聞こたあと……
ぼくは烈しい耳鳴りに襲われ、気を失った。
ぼくは鼻歌を歌いながら、事務所でメールの文章を作っていた。
これを送ったら、今日の業務は終了。
そして明日は、315プロダクションのみんなで行くスキー旅行だ……!
齋藤社長の計らいで、アイドル46人と事務員の山村賢君と一緒に、雪山のペンションに行くことになっている。
事務所の全員で、しかも仕事ではなく親睦を深めるための旅行とあって、ぼくはとても楽しみにしていた。
しかし、楽しみにしているのはぼくだけではない。
先ほど打ち合わせに同行したとき、THE 虎牙道の3人もとても喜んでいた。
いつも頑張っているアイドルたちには、思いっきり羽を伸ばしてもらいたい。
そのためにはしっかり準備をしなければ!
ペンションのパンフレットに、観光ガイド。
トランプも持っていって手品を披露してもらうのもいい。
あとは……。
猫じゃらしと大きな籠、エーゲ海の塩は外せないな。
赤と黄色のカードはポケットに入れたし、全員のお腹を満たせるたっぷりのお米はカバンの中だ。
温泉旅行のパンフレットに……む、宇宙服もあるな。
これは何に使う予定だったろうか?
まあ、細かいことはどうでもいい。
タオルをたくさん敷き詰めて……。
よし! これだけあれば準備は万全だ!
なぜか耳鳴りがするような気がするのが少し心配だったが、早く明日が来るといいと願って、事務所を後にした。
終
誘うような猫の動きに不信感を抱いたぼくは、そのまま猫が去るのを見送った。
「さあ、賢の捜索を再開するぞ!」
ぼくたちはまだ調べていない2階の部屋に向かった。
「ここにもいないみたいだ……」
ソファの裏、クローゼットの中など、人が入りそうなところは徹底的に調べてみたが、賢君は見当たらなかった。
その時、突然金切り声が部屋中にこだました。
その音は、細く開いたドアの隙間を通り抜け、廊下から僕たちのいる部屋の中まで響いてきたようだった。(※「僕」→「ぼく」)
ぼくは何ごとかと思い、耳をすませると、さらに不気味な音が聞こえてきた。
ズッと布を擦るような不快な音。
ギシッという乾いた木の音は、何者かの足音だろうか……。
ゆっくりゆっくりと、この部屋に向かっている。
僕たちの間に緊張が走った。(※「僕」→「ぼく」)
THE 虎牙道の3人が、戦闘態勢に入った。
3人は扉の先を見つめたままだ。
「師匠……自分の後ろに下がっててほしいッス」
円城寺さんがぼくとタケル、漣を守るように先頭に立った。
「円城寺さん、俺も戦う……。1人より、2人の方がいい」
「はァ!? ざけんなコラ! まずはオレ様がいく! オマエラの出番はねーよ」
なんて頼もしいのだろう。
彼らは『THE 虎牙道』であると同時に、戦士。
すなわちファイターなのだ。
ぼくたちの周りに、緊迫した空気が流れた。
3人は扉の先に、ただならぬ強者の気配を感じていらしい。
ついに不気味な物音が、ぼくたちのいる部屋の前までやってきた。
THE 虎牙道の3人は、それぞれ拳を握り直す。
ギィと音をたてて部屋の扉がゆっくりと開いた。
「……なっ」
「どういうことだ?」
しかし、扉の先には誰もいなかった。
「確かに、扉の先から尋常じゃない気配を感じていたんだが」
「ああ、俺もだ。すごい圧迫されるような、あの感じは……一体?」
「くはは! オレ様にビビって逃げやがったな!」
すると突然、天井の吊るし電球がグラグラと激しく揺れだしたかと思うと、激しい音を立てて窓ガラスが割れた!
「チッ! テメェ、どーやって入りやがったッ!?」
漣の驚くような声が聞こえる。
何か、がいる!
その瞬間、ぼくはアイドルたちを傷つけられまいと前に飛び出した。
「師匠っ!」
ぼくを呼ぶ円城寺さんの声が聞こたあと……
ぼくは烈しい耳鳴りに襲われ、気を失った。
ぼくは鼻歌を歌いながら、事務所でメールの文章を作っていた。
これを送ったら、今日の業務は終了。
そして明日は、315プロダクションのみんなで行くスキー旅行だ……!
齋藤社長の計らいで、アイドル46人と事務員の山村賢君と一緒に、雪山のペンションに行くことになっている。
事務所の全員で、しかも仕事ではなく親睦を深めるための旅行とあって、ぼくはとても楽しみにしていた。
しかし、楽しみにしているのはぼくだけではない。
先ほど打ち合わせに同行したとき、THE 虎牙道の3人もとても喜んでいた。
いつも頑張っているアイドルたちには、思いっきり羽を伸ばしてもらいたい。
そのためにはしっかり準備をしなければ!
ペンションのパンフレットに、観光ガイド。
トランプも持っていって手品を披露してもらうのもいい。
あとは……。
猫じゃらしと大きな籠、エーゲ海の塩は外せないな。
赤と黄色のカードはポケットに入れたし、全員のお腹を満たせるたっぷりのお米はカバンの中だ。
温泉旅行のパンフレットに……む、宇宙服もあるな。
これは何に使う予定だったろうか?
まあ、細かいことはどうでもいい。
タオルをたくさん敷き詰めて……。
よし! これだけあれば準備は万全だ!
なぜか耳鳴りがするような気がするのが少し心配だったが、早く明日が来るといいと願って、事務所を後にした。
終