さいこうの夜 W篇 Aルート
「ええー! そんな~」
きっと苦い思い出があるのだろう……。2人は食堂の床に倒れこんだ。
レッドカードの効果はてき面だった。
2人には悪いが、ぼくは2人のプロデューサーだ。事務所の大事なアイドルを危険にさらすわけにはいかない。これでも必死なのだ。
「うう~、監督がそこまで言うなら.……」
「そうだね。俺たちが探検した時に見逃したのかもしれないし……」
なぜだかやや不満げな声のようにも聞こえたのたが、 あまり考えないようにして、ぼくはWの2人とペンションを捜索することにした。
ぼくたちは一通りペンションの中を探し回ったが、賢君の影は見当たらなかった。
「けん、どこ行っちゃったんだろ……」
「ん~、こんだけ探していないってなると、ホントに外に出てっちゃったのかなぁ……」
2人と一緒に、2階1階すべての部屋を探してみた。
もしかすると本当に外に行ってしまったのだろうか?
不吉な考えが頭をよぎる。その時だった……
「……く……ん!」
「ひっ!!」
悠介が怯えたような声を上げる。
今、何か声のようなものが聞こえたような……
「ガガッ……ゆ……く……きょう……ん?」
「わあぁぁぁぁっ!」
ノイズのような音に交じって人の声のようなものと、悠介の悲鳴が響いた。
「……今の、何?!」
不思議な音に怯えつつも、享介は周囲を警戒している。悠介は、恐怖のあまり享介の傍にしゃがみ込んでガタガタと震えていた。
享介の服が悠介に引っ張られすぎてビロビロになっている。ぼくも2人を守るため臨戦態勢に入った。
またノイズのような音が部屋に響く。そして……
「……悠介くん! 享介くん!」
聞いたことのある声が聞こえた。
「僕です! 山村賢です!」
一気に肩の力が抜ける。
「……え、ケン?」
目に涙を浮かべながら怯えていた悠介も、知人の声とわかり安心したようだ。
「なんだぁ~……」
享介もほっとしてその場にヘロヘロと倒れこんだ。
とりあえず、状況を理解するため、ぼくは声の主に話しかけてみる。
「その声は……プロデューサーさん!」
賢君がぼくの声に気づいて、嬉しそうな声を上げる。
そのまま、今どこにいるのかと尋ねると、声の主はぐずぐずと泣きじゃくったような声で答えた。
「わ、わからないんです。どこかに閉じ込められてしまって……。そしたら、突然悠介くんと享介くんの声が聞こえたので、話しかけてみたらやっとつながって……」
きっと賢君の助けてほしいという思いが思念になってぼくたちのいる食堂にまで届いたのだろう。
寂しい思いをしているようだ。早く賢君を助けてあげなくては……!
そう思って、なにか手掛かりになることはないかと賢君に問いかけた時、またガガッとノイズのような音がまぎれ始める。
「ガガッ……僕……かく……うこ…………ガガガガッ」
賢君の声はそこで途切れてしまった。
「えっ? ケン、なにー? もう1回!」
「<かくうこ>……?? ねえ、けん! それじゃわからないって」
悠介と享介は困った顔をしながら、賢君に語りかけ続けていた。
ぼくも同じく、何を言いたかったのかはさっぱりわからない!
しかし、これは重要な手掛かりだ……!
社長に報告に行かなければ!
ぼくは急いで談話室の社長のもとに向かった。
談話室に着くと、社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと……
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きっと苦い思い出があるのだろう……。2人は食堂の床に倒れこんだ。
レッドカードの効果はてき面だった。
2人には悪いが、ぼくは2人のプロデューサーだ。事務所の大事なアイドルを危険にさらすわけにはいかない。これでも必死なのだ。
「うう~、監督がそこまで言うなら.……」
「そうだね。俺たちが探検した時に見逃したのかもしれないし……」
なぜだかやや不満げな声のようにも聞こえたのたが、 あまり考えないようにして、ぼくはWの2人とペンションを捜索することにした。
ぼくたちは一通りペンションの中を探し回ったが、賢君の影は見当たらなかった。
「けん、どこ行っちゃったんだろ……」
「ん~、こんだけ探していないってなると、ホントに外に出てっちゃったのかなぁ……」
2人と一緒に、2階1階すべての部屋を探してみた。
もしかすると本当に外に行ってしまったのだろうか?
不吉な考えが頭をよぎる。その時だった……
「……く……ん!」
「ひっ!!」
悠介が怯えたような声を上げる。
今、何か声のようなものが聞こえたような……
「ガガッ……ゆ……く……きょう……ん?」
「わあぁぁぁぁっ!」
ノイズのような音に交じって人の声のようなものと、悠介の悲鳴が響いた。
「……今の、何?!」
不思議な音に怯えつつも、享介は周囲を警戒している。悠介は、恐怖のあまり享介の傍にしゃがみ込んでガタガタと震えていた。
享介の服が悠介に引っ張られすぎてビロビロになっている。ぼくも2人を守るため臨戦態勢に入った。
またノイズのような音が部屋に響く。そして……
「……悠介くん! 享介くん!」
聞いたことのある声が聞こえた。
「僕です! 山村賢です!」
一気に肩の力が抜ける。
「……え、ケン?」
目に涙を浮かべながら怯えていた悠介も、知人の声とわかり安心したようだ。
「なんだぁ~……」
享介もほっとしてその場にヘロヘロと倒れこんだ。
とりあえず、状況を理解するため、ぼくは声の主に話しかけてみる。
「その声は……プロデューサーさん!」
賢君がぼくの声に気づいて、嬉しそうな声を上げる。
そのまま、今どこにいるのかと尋ねると、声の主はぐずぐずと泣きじゃくったような声で答えた。
「わ、わからないんです。どこかに閉じ込められてしまって……。そしたら、突然悠介くんと享介くんの声が聞こえたので、話しかけてみたらやっとつながって……」
きっと賢君の助けてほしいという思いが思念になってぼくたちのいる食堂にまで届いたのだろう。
寂しい思いをしているようだ。早く賢君を助けてあげなくては……!
そう思って、なにか手掛かりになることはないかと賢君に問いかけた時、またガガッとノイズのような音がまぎれ始める。
「ガガッ……僕……かく……うこ…………ガガガガッ」
賢君の声はそこで途切れてしまった。
「えっ? ケン、なにー? もう1回!」
「<かくうこ>……?? ねえ、けん! それじゃわからないって」
悠介と享介は困った顔をしながら、賢君に語りかけ続けていた。
ぼくも同じく、何を言いたかったのかはさっぱりわからない!
しかし、これは重要な手掛かりだ……!
社長に報告に行かなければ!
ぼくは急いで談話室の社長のもとに向かった。
談話室に着くと、社長は落ち着きのない様子でソファに腰掛けていた。
ぼくに気づくと……
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