さいこうの夜 THE 虎牙道篇 その2
聞き込みを行う前に、ペンション内を探してみよう。
ぼくは少し考えて、THE 虎牙道の協力を仰ぐことに した。
賢君はきっと、なんらかの事情で戻るに戻れない状況 にあるはずだ。
THE 虎牙道の体力と卓越した格闘センスが役に立つに違いない。
ぼくは談話室の隅にいる3人の元へ向かった。
3人に事情を説明すると、案の定小競り合いが始まってしまった。
「オレ様が正しいに決まってんだろ! あのヘナチョコは外だ!」
「いや。今さっきまで一緒にいたんだ。中だ」
「まあまあ、落ち着け。それなら、両方探そう!」
「ならソッコーで見つけてやるよ! まずは外だ!」
「ペンションにいるんだ。まずは中からだろ」
円城寺さんがなだめてくれるも、話は平行線だ。
「こら、2人とも。師匠を困らせるんじゃない」
そう言って円城寺さんは2人をたしなめながら、ぼくに言った。
「師匠の意見も聞きたいッス! どこから探しましょうか?」
賢君が行きそうな場所。
もしかすると、厨房にお茶でも淹れに行ったのかもしれないと思い、ぼくたちは厨房に行くことにした。
「オイ! 出てこい!」
漣が呼びかけてみるが、賢くんからの返事はなかった。
円城寺さんが戸棚を調べながら言った。
「いないッスね。他の部屋も調べてみましょうか」
「ああ。2階にも部屋がたくさんあったはずだ」
「2階だな……! なら先頭はオレ様だ」
そう言って、漣が勢いよく厨房を飛び出そうとした時、チリンと言う鈴の音が響いた。
ぼくたちが音のする方に向かって歩くと、1匹の猫が現れた。
「可愛い猫ッスね! ここで飼ってるんスかね?」
そうだ……!
ぼくは、こういう時のために猫じゃらしを持ってきたことを思い出した。
ガサゴソとポケットを漁っていると、同時に2人の声がした。
「覇王!」「チャンプ」
「チビ、テメェ。覇王だっつってんだろ?」
「覇王じゃない。チャンプだ」
「はは! 2人とも、そこまでだ。こいつは覇王でも チャンプでもないぞ!」
そう言いながら円城寺さんは猫を撫でた。
「首輪がついてるから、ここの飼い猫かもしれないな」
ぼくも猫の気を引こうと、取り出した猫じゃらしを揺らした。
しかし、猫は円城寺さんに撫でられて気持ちよさそうにしているままで、ぼくの方には見向きもしない。
「よく似てるけど、尻尾の色がちょっと違うな」
「ハッ、ニセ覇王かよ」
口ではそういいつつも、漣は猫を気にしている様子だ。
タケルが猫の額をそっと撫でると、猫は気持ちよさそうに鳴いた。
「それにしても……、賢はどこに言ったんだろうな」(※「言」→「行」の誤字)
円城寺さんが呟いた。
「ああ。手掛かりになりそうなものも見当たらない」
「めんどくせェ……ほっときゃ帰ってくんだろ?」
みんなで賢君の行方について話していた時、猫がするりと漣の足元に移動した。
ニャァと鳴きながら漣とタケルの足元をクルクルと回る。
首元の鈴をチリンと鳴らしてそのまま廊下へ向かうと、ぼくたちを誘うように見つめた。
A 猫を追う
B 猫を追わない
ぼくは少し考えて、THE 虎牙道の協力を仰ぐことに した。
賢君はきっと、なんらかの事情で戻るに戻れない状況 にあるはずだ。
THE 虎牙道の体力と卓越した格闘センスが役に立つに違いない。
ぼくは談話室の隅にいる3人の元へ向かった。
3人に事情を説明すると、案の定小競り合いが始まってしまった。
「オレ様が正しいに決まってんだろ! あのヘナチョコは外だ!」
「いや。今さっきまで一緒にいたんだ。中だ」
「まあまあ、落ち着け。それなら、両方探そう!」
「ならソッコーで見つけてやるよ! まずは外だ!」
「ペンションにいるんだ。まずは中からだろ」
円城寺さんがなだめてくれるも、話は平行線だ。
「こら、2人とも。師匠を困らせるんじゃない」
そう言って円城寺さんは2人をたしなめながら、ぼくに言った。
「師匠の意見も聞きたいッス! どこから探しましょうか?」
賢君が行きそうな場所。
もしかすると、厨房にお茶でも淹れに行ったのかもしれないと思い、ぼくたちは厨房に行くことにした。
「オイ! 出てこい!」
漣が呼びかけてみるが、賢くんからの返事はなかった。
円城寺さんが戸棚を調べながら言った。
「いないッスね。他の部屋も調べてみましょうか」
「ああ。2階にも部屋がたくさんあったはずだ」
「2階だな……! なら先頭はオレ様だ」
そう言って、漣が勢いよく厨房を飛び出そうとした時、チリンと言う鈴の音が響いた。
ぼくたちが音のする方に向かって歩くと、1匹の猫が現れた。
「可愛い猫ッスね! ここで飼ってるんスかね?」
そうだ……!
ぼくは、こういう時のために猫じゃらしを持ってきたことを思い出した。
ガサゴソとポケットを漁っていると、同時に2人の声がした。
「覇王!」「チャンプ」
「チビ、テメェ。覇王だっつってんだろ?」
「覇王じゃない。チャンプだ」
「はは! 2人とも、そこまでだ。こいつは覇王でも チャンプでもないぞ!」
そう言いながら円城寺さんは猫を撫でた。
「首輪がついてるから、ここの飼い猫かもしれないな」
ぼくも猫の気を引こうと、取り出した猫じゃらしを揺らした。
しかし、猫は円城寺さんに撫でられて気持ちよさそうにしているままで、ぼくの方には見向きもしない。
「よく似てるけど、尻尾の色がちょっと違うな」
「ハッ、ニセ覇王かよ」
口ではそういいつつも、漣は猫を気にしている様子だ。
タケルが猫の額をそっと撫でると、猫は気持ちよさそうに鳴いた。
「それにしても……、賢はどこに言ったんだろうな」(※「言」→「行」の誤字)
円城寺さんが呟いた。
「ああ。手掛かりになりそうなものも見当たらない」
「めんどくせェ……ほっときゃ帰ってくんだろ?」
みんなで賢君の行方について話していた時、猫がするりと漣の足元に移動した。
ニャァと鳴きながら漣とタケルの足元をクルクルと回る。
首元の鈴をチリンと鳴らしてそのまま廊下へ向かうと、ぼくたちを誘うように見つめた。
A 猫を追う
B 猫を追わない